2020年6月30日火曜日
17歳のウィーン フロイト教授 人生のレッスン
2020年6月16日火曜日
おすすめリンク集
【映画情報】
シネマジャーナル 映画好きな女性たちによる、コアな映画情報やインタビュー記事満載の映画誌サイト。
キネマ旬報 創刊100周年を迎えた映画専門誌のサイト。最新映画紹介や特集、インタビュー記事など読み応えあり。
【映画人】
金子遊 『ワールドシネマ入門』などの著書もある批評家、映像作家、映画雑誌「neoneo」編集委員、東京ドキュメンタリー映画祭プログラム・ディレクター。
松崎まこと 日本の映画特に自主映画界を盛り上げようと日々活躍している映画活動家、放送作家。
【映画配給・宣伝会社ほか】
ビターズ・エンド 世界各国の名匠の作品を届けて30年、映画配給・宣伝・製作を行っている。
ムヴィオラ ワン・ビンやアピチャッポンの監督作、イラン映画など、アジアの渋い名作を中心に紹介。
サニー・フィルムズ 世界最先端のドキュメンタリーに特化して配給している。
東風 ミニシアター系のドキュメンタリー映画や劇映画などの配給・宣伝を行っている。
キノフィルムズ 木下グループの映画製作・配給会社。
アップリンク 世界の映画を配給し、渋谷と吉祥寺、京都のほか、オンライン上にも映画館を持つ。
岩波ホール 世界の埋もれた名作映画の発掘上映を1974年から神保町で行っているミニシアターの元祖。
太秦 映画を主軸にして、アート、エンターテインメントの確立を目ざしている。
トランスフォーマー 斬新で面白く、唯一無二の良質な作品を世の中へ届け続けようとしている。
アンプラグド 映画やキャラクターなど、様々なアイテムを新しいアイデアでプロデュースするコンテンツ会社。
ロングライド 作家性と社会性の高いインディペンデント作品を数多く扱っている。
地球の歩き方 海外旅行の最新観光情報満載
辰巳出版 雑誌・書籍・ムック・コミックス・ニューメディア商品の出版発行
2020年6月12日金曜日
ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語
四姉妹の成長を描いた「若草物語」とその続編である「続 若草物語」の瑞々しい映画化
Little Women
2019年/アメリカ
監督:グレタ・ガーウィグ
出演:シアーシャ・ローナン、エマ・ワトソン、ティモシー・シャラメ、フローレンス・ピュー、エリザ・スカンレン、ローラ・ダーン、メリル・ストリープ
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
公開:6月12日より全国
公式HP:https://www.storyofmylife.jp/
●ストーリー
1860年代、ジョーはニューヨークの出版社に原稿を持ち込んでいた。そんな彼女の脳裏に7年前の家族の姿が蘇る。父親が南北戦争に従軍し、留守になったマーチ家。しかし優しい母(ローラ・ダーン)のもと、しっかり者の長女メグ(エマ・ワトソン)、次女ジョー(シアーシャ・ローナン)、三女ベス、末っ子のエイミー(フローレンス・ピュー)の四人は楽しく暮らしていた。裕福な未亡人の叔母(メリル・ストリープ)は、裕福な相手との結婚が女性としての幸福だという。やがて彼女たちの輪に隣家の少年ローリー(ティモシー・シャラメ)も加わるが、ジョーは彼の想いを拒否する。●レヴュー
『レディ・バード』などの女性監督グレタ・ガーウィグによる、オルコットによる自伝的小説「若草物語」と「続若草物語」の映画化だ。主人公ジョーを演じているのは、その『レディ・バード』の主演シアーシャ・ローナン。グレタ・ガーウィグが主演した『フランシス・ハ』を見ていると、シアーシャ・ローナンがガーウィグによく似ていることがわかる。ローナンは本作でアカデミー主演女優賞にノミネートされたが、それも納得の好演だ(本作はアカデミー賞主要6部門ノミネート)。映画の時間軸の“現在”は、姉妹たちが実家を離れた後。主人公のジョーが過去を振り返る形で、現在と過去の話が入り混じる。「古めかしい古典」かと思って見ていると、その予想は外れる。100年前の家族愛や女性の悩みが語られるが、それは実に今日的なのだ。古典を新鮮な語り口で、今も女性たちが抱える問題として蘇らせたガーウィグの手腕はすばらしい。
女性はなぜ男性と同じ幸せを得られないのか。この社会は男性中心で作られていることは、今も変わらない。結婚していない女性、子供を産めない女性を「かわいそう」などと平気で言う女性は今もいる。女性の価値は、結婚する相手で決まると信じている女性もいる。結婚を人生のゴールとする価値観は、未だに健在なのだ。しかし結婚が人生のゴールとする男性はほとんどいない。
マーチ家の四姉妹は、これから大人になる様々な女性たちの価値観の現れだ。それは現代でも変わっていない。今では結婚をしなくても女性は生きていけるが、それでも独りの寂しさは消えないだろう。劇中で、ジョーが自分を愛する男性の求婚を拒否するが、同時に分かち合えない寂しさを感じる。誰が正しいか正しくないかなんてわからない。正解のない人生の中で、それぞれが自分の道を選択して生きていく。それが初々しく、この映画自体が「古典」となる美しさを持っている。邦画の『海街diary』のように、いつまでもこの四姉妹と一緒にいたくなる。そんな作品だ。(★★★★ 前原利行)
旅シネ執筆者 プロフィール
■前原 利行
旅行・映画ライター
東京生まれ。音楽業界、旅行会社を経て、現在は海外旅行、映画に関わるフリーライターとして活動中。旅行人では、「旅行人ノート」を執筆。現在は旅行ガイドの取材、ウェブに旅行記事や映画レヴューを掲載中。ホームページ「前原利行の徒然日記」、「前原利行の映画レビュー」
■カネコマサアキ
マンガ家&イラストレーター
旅関連の仕事に『世界に旅立て!エスニック旅行マニュアル』(共著/NHK出版)『バックパッカーズ読本』(双葉社)などがある。書籍・雑誌・広告・ウェブで活躍中。アジアのポップカルチャーについてのブログ「The Eastbound train」も運営中。ホームページ
■ 加賀美 まき
造形エデュケーター
東京生まれ。会社勤務を経て、子どもの造形ワークショップを主宰。旅行が好きで、毎年、アジア・ヨーロッパを回っている。2008年より「旅シネマ倶楽部」にライターとして参加。韓国映画にはとりわけ興味を惹かれている。ホームページ 。
■今野 雅夫
フリーライター&カメラマン・自主映画監督
川崎生まれ。学生の頃より映画好きなのに加え、海外旅行を繰り返し、今では主に『地球の歩き方』(近年はインドネシア編、メキシコ編など)の取材をしている。写真展を開催。現在は自主映画を撮っている。ホームページ
2020年6月7日日曜日
15年後のラブソング
ある日、アニーはダンカンのSNSサイトに批判的な投稿をしたところ、タッカー本人から返信の書き込みが来る。それをきっかけに二人は繋がり、漫然としていた日々が少しずつ変化していく。新しい何を模索していく成り行きがさらりと描かれ、いくつかのトピックが軽妙に演出されていて心憎い。これから大人になる人も、今モヤっとしている人も、もう大人になりきってしまった人にも楽しめる小粋な作品だと思う。
伝説のロックシンガーを演じたのはイーサン・ホーク。「いまを生きる」(89年)で、気弱な生徒を演じた美少年も、このところ「大人になれないダメ男」がはまっている。それがなぜかチャーミングに見えるのは、幅広い役を演じ分けるイーサン・ホークならではの魅力だろう。かくいう筆者も長年のファン。若いころのイーサンの写真が登場し、劇中、彼の歌声が聞けるのは嬉しい。また、タッカーの曲をネイサン・ラーソンやロビン・ヒッチコックといった面々が提供。90年代のオルタナティブロックのムーブメントが各所に散りばめられ、楽しめる作品になっている。