2018年7月13日金曜日

バトル・オブ・ザ・セクシーズ



2018年 アメリカ
監督:ジョナサン・デイトン&ヴァレリー・ファリス(『リトル・ミス・サンシャイン』)
出演:エマ・ストーン、スティーヴ・カレル
配給:20世紀フォックス映画
公開:TOHOシネマズ シャンテにて公開中

■ストーリー

 1973年、9月10日。女子テニスプレイヤーのチャンピオンのビリー・ジーン・キングと、元男子チャンピオンのボビー・リッグスが、多額の賞金と”女”と”男”のプライドを懸けて対戦した。全世界が見守る中、”バトル・オブ・セクシーズ”(性差を超えた闘い)が幕を開ける…。

■レビュー

こんな対戦が70年代のアメリカであったのか。
女子と男子が(年齢差はあるとはいえ)真っ向から勝負するなんて、今の感覚からするといささか滑稽に見えるが、マスコミの煽りやテニス協会の横槍、男性至上主義者たちの冷やかしに戸惑いながらビリー・ジーン・キング(名前にキングがついてるが女性である)は世紀のゲームマッチに挑んで行く。

テニスに詳しい人ならビリー・ジーン・キングの輝かしい業績は周知なのかもしれない。彼女は仲間とともに全米テニス協会を脱退し、女子テニス協会を立ち上げた。女子の優勝賞金が不当に安く(男子の1/8の金額だった)、男女平等を求めた末の行動だった。このゲームは、女子プレーヤーの地位向上ばかりでなく、フェミニズム運動の盛り上がりを象徴するような出来事として、人々の記憶に残っているようだ。

興味深いのはビリー・ジーン・キングの私生活だ。献身的な夫がありながら、別の人物に惹かれ、本当の自分を見いだして行く。実はLGBTQの問題を孕んでいるのだ。意外な背景に消化不良を起こしそうになるが、これが実話というんだから驚いてしまう。最近のMeToo運動の告発を見るにつけ、男女平等という点で果たして時代は進歩してるのだろうか?と訝しがってしまうが、先人たちの闘いに教えられることも多いはずだ。

(カネコマサアキ★★★☆)

■関連事項

この映画の試写を見る前日に、たまたまETV特集『Love1948-2018 多様な性をめぐる戦後史』という日本のセクシャル・マイノリティを検証したドキュメンタリーを見たせいか、とても連動感があった。機会があれば見てほしい。アメリカで言えば、フェミニズムもゲイ・プライドも50-60年代の公民権運動の流れにあるのだろうか。