2018年1月28日日曜日

ジャコメッティ 最後の肖像


Final Portrait
2017年/イギリス


監督:スタンリー・トゥッチ
出演:ジェフリー・ラッシュ、アーミー・ハマー、トニー・シャループ、シルヴィー・テスチュー
配給:キノフィルムズ/木下グループ
公開:201818日よりTOHOシネマズ シャンテ他にて公開中

日本でも展覧会が好評だった、細長い人の彫刻で知られるジャコメッティ。
舞台は1964年、すでに有名になって個展も開かれている晩年のジャコメッティ。
その彼に肖像画のモデルを依頼された
主人公ロード(アメリカ人作家)が、「2日ですむから」
と言われてアトリエに行くが、なかなか作品が完成せず18日間も
かかってしまう(映画はロードの回想録を基にした実話)。
そのため物語の大半はアトリエが舞台で、
そこに妻のアネット、ジャコメッティの弟のディエゴ、
そしてジャコメッティのミューズ的存在の娼婦カロリーヌ
が現れては消え、ジャコメッティはなかなか創作に集中できない。
モデルは椅子に座ってじっとしているだけだから、そうした人間模様を観察する。

意外だったは、成功者なのに、ジャコメッティの家もアトリエもみすぼらしいこと。
お金には無頓着なのかケチなのか、必要ないものは欲しくないのか。
生活も質素といえば質素。
かといって高尚な職人気質ってわけでもない。まあ、偏屈といえば偏屈だ。
観客は凡人側である主人公の気分だから、最初は天才であるジャコメッティに気を使い、

早く完成してくれるように注意を払うが、
そのうち「コイツ、本当に完成させる気があるんだろうか」と不安になってくる。

モノづくりが難しいのは始めと終わりで、特に仕事の依頼でもなく始めたものは、
“完成しない作品”になりがちだ。
自分で締め切りが切れないからだ。人の創作風景を見るのはなかなか面白い。
映画は低予算の小作品で舞台にもできそうだ。
地味といえば地味な作品だが、きちんと作ってあるので創作好きな人には、

興味を持って見れるはず。
「最後の肖像」というのは、彼が描いた最後の肖像画だから。
ジャコメッティにジェフリー・ラッシュ。
海賊バルボッサの人ね。主人公のモデルにアーミー・ハマー。
監督は、俳優のスタンリー・トゥッチ。