2015年3月24日火曜日

マジック・イン・ムーンライト

Photo: Jack English © 2014 Gravier Productions, Inc.


ウディ・アレンの最新作は、南仏を舞台にした堅物マジシャンと可愛い占い師のラブ・コメディー。

2014年/アメリカ、イギリス
監督・脚本:ウディ・アレン
出演:コリン・ファース、エマ・ストーン、マーシャ・ゲイ・ハーディ
提供:KADOKAWA、ロングライド
配給:ロングライド
上映時間:98分
公開:4月11日(土)、新宿ピカデリー、丸の内ピカデリー、Bunkamuraル・シネマ他全国ロードショー
HP:magicinmoonlight.jp

ストーリー
 華麗なイリュージョンで世界中のステージを沸かせる中国人奇術師、ウェイ・リン・スー。その正体は、超能力など信じない堅物で皮肉屋のイギリス人マジシャン、スタンリー(コリン・ファース)だ。彼は、知り合いのマジシャンから、ある大富豪が入れ込んでいるアメリカ人占い師の正体を暴いてほしいと頼まれる。
 婚約者との旅行を延期し、自信満々で南仏の富豪宅に乗り込んだスタンリーだったが、対面した占い師ソフィー(エマ・ストーン)は、若くて美しく、笑顔が実にチャーミングな女性。彼女の驚異的な透視能力に自身の正体を言い当てられ、スタンリーはそれまでの人生観を覆される羽目に。その上、可憐な容姿で明るく活発な彼女にすっかり魅了されてしまい……

レヴュー
 タネも仕掛けもあるイリュージョンで人を沸かせる現実主義者のマジシャンと、スピリチュアルなパワーを持つ若くて可憐な女占い師が主人公のロマンチック・ラブ・コメディ。堅物で皮肉屋の英国男と、天真爛漫なアメリカ娘、そんな正反対の相手に恋心が芽生え、二人の関係はもつれて絡まって、思いがけない真実が暴かれて・・・、というのはラブコメの王道ストーリーなのだが、ウディ・アレン監督はいつものように軽妙でウイットに富んだ脚本と演出で私たちを楽しませてくれる。主人公たち同様、観客もウディ流の恋の魔法にかけられ、ひととき軽快なラブコメを楽しみたい。
 マジシャンを演じるはコリン・ファース。前半は皮肉と毒舌を飛ばして憎たらしいが、後半はソフィーに骨抜きにされるツンデレな英国男役がはまっている。ソフィー役には、大きな目が印象的なエマ・ストーン。今、注目度No.1の若手女優は、中年マジシャンを魅了する役柄をチャーミングに嫌味なく演じている。ウディ・アレン監督の次回作への出演も発表されていて、本当に楽しみだ。
 物語の設定は1920年代、舞台は南仏。陽光が美しく、青い海が眼前に広がるリゾート地の瀟洒な雰囲気は、ロマチックな作品にぴったりだ。また、クラシカルな演出も恋のマジックをテーマにしたこの物語をより一層楽しく心地よいものにしてくれる。そして注目したいのが衣装。ほとんどが当時のオリジナルだそうで、人物の雰囲気やシチューションまでよく計算されている。特に主人公ソフィーのファッションは、時に可愛く、時にはセクシーに、帽子や髪飾りに至るまで行き届いて素敵だ。この作品の見どころの一つになっている。(★★★☆ 加賀美まき)